Skip to main content

tkskkd

IndieWebをはじめてみた

うまく言葉にできないIndieWebに心惹かれる理由はなんだろう?

2 min read

IndieWebへの道

IndieWebをふと見つけて共感したので自分もやってみることにした。

昔は自宅サーバを立てて管理していたし、ずっと自分のドメインでブログを運営していたものだが、ここ数年はSNSに流れてブログは更新せず、Mediumnote.comなどでサイト運営の手間を省いて楽に記事を書くような環境を探していた。

SNSはTwitterやFacebookはほどほど投稿していたが、いつしかFacebookは外部からの投稿の転送が禁止になり、TwitterもFacebookもタイムラインの順番が変わったり広告が出てきたりして、どんどん商業環境に変わってきた。

それを時代の流れとして普通に受け入れてきたが、あるきっかけでnote.comのコンテンツがエクスポートできなかったり、WebArchiveに保存されないということを知った。

あれ?これでいいんだっけ?

今だけ考えるならWebArchiveに保存されようがされまいが関係ないだろう。しかし自分の場合、今はなき個人ブログの情報をWebArchiveから探したり、過去の歴史を紐解くのに使ったりするので未来を考えた時に「今だけ良ければいい」という発想にはあまり共感できない。

人はいつしか楽なものに流れ、長いものの巻かれ、考えなくてもいいこと、自分でやらなくていいことを他人に任せていく。その方が効率が良いし有限な時間を有効活用するには適切だ。

しかし時が経つにつれて、いつしか人は「自分でできる」という可能性をどんどん捨て去り、気づくと自分一人でできることが矮小化されていく。これは全てにおいて現代社会の流れであり、どんな領域もこの流れは不変のように思える。

しかし、本当にこれでいいのだろうか?

IndieWebってなんだろう?

IndieWebのサイトをみると、高らかに次の内容が書いてある。

IndieWebとは? IndieWebは「企業のウェブ」に代わる「人々に注目する」Webです。

Your content is yours(あなたのコンテンツはあなたのもの) あなたがウェブ上に何かを投稿するとき、それは企業ではなくあなたのものであるべきです。あまりにも多くの企業が廃業し、ユーザーのデータをすべて失っています。IndieWebに参加することで、あなたのコンテンツはあなたのものになります。

Your are better connected(より良いつながりが生まれます) あなたの記事やステータスメッセージは、1つのサービスだけでなく、すべてのサービスに送ることができるので、すべての人と関わることができます。他のサービスへの返信や「いいね!」も、あなたのサイトに戻ってくることができるので、すべてが一か所に集約されます。

Your are in control(自分でコントロールできます) あなたは誰にも監視されることなく、好きなものを好きな形式で投稿することができます。さらに、example.com/ideasのようなシンプルで読みやすいリンクを共有します。これらのリンクは永久的なものであり、常に機能します。

つまり、自分の取得したドメインでコンテンツを管理し、コンテンツへのフィードバックはサービスを越えて受け取れ、どこに何を投稿するか、どこに転送するか、どのようなURLにするかなどを自分で選択して決定することができるということだ。

上記を実現するためには、単にWordPressなどのCMSでブログを立ち上げるだけでなく、IndieAuthWebmentionといったプロトコルに対応しないといけない。たとえばWordPressはプラグインの導入で比較的カンタンにIndieWebを実現できるようだ。 1

または、IndieWebのコンセプトに忠実な実装であるKnownを導入したり、有償サービスではあるがMicro.blogのようなIndieWebフレンドリーなサービスを使うと上記が更に容易に達成できる。

ちなみに、このサイトはKnownで構築していて、別途Micro.blogサイトも設定している。

何が魅力なの?

IndieWebが目指す世界は、自分の理解によれば個人がそれぞれ自分の自立したWebサイトを持ち、個人のWebサイト同士がSNS内で行うように相互交流を行う世界だ。個人サイトはホスト企業の意向にただ従うのではなく、自分の意志でデータを扱うことができなければならない。多くのスタートアップ企業が次々と生まれるが、そこにデータをおいておくだけではいつその企業がなくなるかわからない。

その昔、Catch.comというアプリを提供するスタートアップがあった。Evernoteに似たスクラップアプリだったが、軽量なのでとても重宝していた。しかし企業がサービスを中止することになりサイトからアプリデータのExportを急遽用意してくれていたのだが、自分の場合仕事が忙しい時期でそのExportデータを入手しそこねてしまいデータがロストしてしまった。Catch.comの場合はブログのような公開データではないが、ある企業にデータを預けておくということは、上記のようなリスクが常に存在しているというよい教訓になった。

個人サイト同士の相互交流は、その昔流行ったTrackbackを思い起こさせる。(Trackbackはスパムの温床にあったのでWebmentionではそのあたりが考慮されたプロトコルになっている)

これだけだと単に「昔のWeb、インターネットに戻れ」という懐古主義のように聞こえるかもしれないし、そういうのはインターネット老人会でやればいい。

自分としては単なる「昔にもどれ」運動であればそれほど心惹かれないのだが、IndieWebには個人の力、個人の連合(フェデレーション)を強める力があると感じている。

SNSで何かを発信した時に、不適切な内容ということで削除されることもなく、アカウントをBANされることもなく、自分のタイムラインに意図しない広告が流れたり、時系列がめちゃくちゃになったりすることもない。すべては自分の意志でコントロールできる。

今のSNSで培われた個の相互交流の世界観を、更に独立性を高めた個同士が交流する世界観に魅力を感じる。

IndieWebのプロセス

先の通り、自分のコンテンツを自分のコントロール下に置くことがIndieWebの要点だ。独立性を高めるだけでは何が嬉しいのかさっぱりわからない人もいると思う。

具体的に言えば、IndieWebの提唱することを達成しても、記事のページビューが劇的に上がるとか、コンテンツが売れるかどうかに直接は関係はない。つまり目的を達成するために必要な要素ではないということだ。

では何が魅力なのか?自分が惹かれたのは次の違いだ。

  • プロジェクト中心主義よりも、原則
    • ある一つのプロジェクトで追求するのではなく、原則を公開してその原則に沿った複数のプロジェクトが乱立することで、モノカルチャーではない多様性を生み出そうとしている点。
  • 必要なものを作り、自分で作ったものを使う
    • いわゆる「セルフドッグフーディング」が強く推奨されている点。議論するよりもまずそれぞれが作って試してみること。「自分自身の痒いところを掻きむしる」と表現されている。
  • デザインとUXが第一、フォーマット/プロトコルは第二
    • デザインとUXを重視する点が徹底されている点。実際、Micro.blogにしてもKnownにしても使い始めまでが無茶苦茶速かった。(いくつか類似ツールも試してみたがインストールは簡単でも設定が多いとか問題が色々あることが多かった)

ものすごくプラグマティックで、アジャイルだ。新しいコンセプトを世に生み出そうとしている真っ只中な感じがするのがなんだかワクワクする。

自分はロートルプログラマーではあるが、プラグインを作ったり、バグを直したりするくらいならできそうだ。そういった貢献もできるといい。

「ときはいのち」

人は効率を求める。これを突き詰めると時間を節約するということになる。これは「Time is money」(ときは金なり)の概念メタファーが隠れている。

一方、IndieWebの文脈においては「Time is money」よりも「Time is life」(ときはいのち)の概念メタファーの方が適切だと感じる。

ときはいのち」とは、メタファー研究者の瀬戸賢一氏が著作で紹介していた概念メタファーだ。新しいコンセプトを生み育てる、時間を浪費しないために急ぐのではなく、ゆっくりじっくりと成長し、その成長の過程を味わう。

多様性を原則とし、各自が試行錯誤をしながら、使い手ファーストを目指す。そのために最短距離を辿ろうとする「ときは金なり」よりも、焦らずじっくりと育てる「ときはいのち」のメタファーがしっくりくるのではないだろうか。

そして、個人のWebについても、何かの目的を達成するためのWebというよりも、自分という存在を育て豊かな実りを得るためのWebと考えるならば、同じく「ときはいのち」のメタファーがしっくりくるのではないだろうか。

様々な実践による試行錯誤、新たな学びの喜び、自身の学びや発見や考えを表現し、他者とつながり、それらがもしかすると収入につながるかもしれない(がつながらないかもしれない)。そのような成長の過程をも楽しんでいければよいな。